詩人:遥 カズナ
太陽を仰ぎ透した
たおやかな花びらにも似た手のひらが
命の毛細を赤く燃やし
宇宙にさえ充満しようと昇華しているのか
堪らぬように迎えに訪れた日射しは溢れるように降り注ぎ
色鮮やかな光のスペクトルの調合をありとあらゆる景色へ与え
その手を連れた無邪気さは
喧騒の残骸を散らばせながら羽ばたいてゆく
それは空の青さを掴もうとして
雲の白さに触れようとして
森の緑を撫でようして
川の流れを掬おうとして
海の深さを探ろうとして
大地の固さを打とうとして
十分にいっぱいに遊び
木々の木陰に膝を抱え
風の爽やかさに頬杖すると
草の柔らかさに腕枕して
うつぶせながら寝息をたてた
蝉時雨はいつしか止み
夕闇が暮れる頃には
光る度に弾け弾ける度に歌う打ち上げ花火と歓声の余韻は
海を渡る彗星と弧を描き水平線の彼方へと去って行く
後に残る漆黒の闇を見下ろすものは
ただ満天の星空だけとなる
幼い頃から
その手のひらが触れてきた
まばゆいばかりの生きてきたという感触は
確かに胸の奥深くにゆっくりと沈み
いつか言葉に出来なくなってしまっても支えとなって
あたりまえに安らかな不平や不満なんかを振りかざしみても
どこかで優しく君をいさめて
正しい道を頑なに指し示す事だろう
永遠に
新たに繋ぐ手を求めて