詩人:甘味亭 真朱麻呂
この広い広いキャンバスの中に
僕の理想とする君を描いてみよう
きっとステキに描けると思う
僕の好きな大好きな君なんだから
このキャンバスに描くは君だけだよ
夕陽がきれいに窓越しに見えた
いちばん端の窓から吹き込む風はクリーム色のカーテンをふわりと吹き上げる
右手に持つ鉛筆はだんだんと君の姿をはっきりさせていく
君がやさしく笑うから
絵の中の君もやさしく笑った。
時々淋しそうな目をするから
絵の中の君も淋しそうな目をしてた。
僕はなにも注文はしないさ
ただ君の自然なそのままの姿を描いていたかったから
僕はいろんな君の表情を次から次へと真っ白なキャンバスに描いていった
心のアトリエ、とうとうこの部屋を埋めつくした
どれも、色のないさびしい絵だった
それはきっと僕のせいだろう
僕自身が色のない心を持ってるから
少しだけ、ほら君にやさしくしたり微笑みかけて気遣ってあげるだけで
何十年間の長い月日の中に失ったいた気持ちまた僕の元に戻ってくるだろう
いつの間にかいろんな色に染まった君の絵は
僕の今の心の色
鮮やかな赤や夕暮れのオレンジ色
いろんな色をしていてきれいさ
だからね、僕はもっと君にやさしくやさしくしたくなる
もっともっと君を描いてみたくなる
君の悲しみさえいやしてあげたくなるんだな
不思議なほどに
そう、絵を描くみたいに
まるで、絵を描くのと同じように
いや、それ以上に君が好きになる
好きになるんだ
絵を描くみたいに。絵を描くみたいにさ。