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[189496] 悪魔の表象

詩人:清彦

目を閉じたって

暗闇のそこは砂嵐

すべての色を象るのは

ほんの小さな光の粒の集まり


ため息はいくら吐いても

呼吸は止まらないからまた吐き出す


コップ一杯に水を注いだら

ゆらゆら揺れる水面に

煩わしいことが次々に浮かぶんだよ


透明で何も無いふりして

ちゃんと質量を保ってる

自分自身か、それとも

この世を見張る何者かに

長い間ずっと

騙されている感覚だ



もう面倒くさいから

一口で全部飲み干してやる

ゴクンって喉を一瞬通って

胸からお腹の辺りまで

すぅっと染み渡るように

罪悪感ごと、落ちてゆく


カチカチ鳴る時計の針は

焦れったくて苛立たせてくる

声にならない叫びが

激しい低音の振動みたいに

ガタガタと身体が震えるよ



沢山のことを教え込まれて

くたくたになって生きてきたけど

僕はいったい

何のために生きているんだろうか



ほんの些細な

過ちの連なり

小さな小さな

嘘が積み重なった

膨大な矛盾



眠れなくったって

眠るしかないんだ

もう何も見たくなくて

深く吸って、ため息吐いて

電気消して布団に飛び込んだ


目を閉じたって

暗闇のそこは砂嵐

すべての色を象るのは

ほんの小さな光の粒の集まり



わかるかい?



本当は何処にも

嘘も理不尽も矛盾も無い

例えるなら

ただ様々な光の粒が

蟻の大群みたいに集まって

悪魔の形を為しているだけなんだよ



2015/10/16 (Fri)
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