詩人:あいる
野良猫に石を投げる闇に
生卵をぶちあてて
十五夜の完成
グッドラック
生卵みたいな満月に
野良猫が遠吠え
猛々しく猛々しく
誰に届かなくとも
鳴き声か泣き声か
猛々しく猛々しく
もたついた足元に
ついて来ていた闇
自分の影が
ひどく愛しく見えた
疾走しよう
心優しい影が
ついて来れないように速く
これ以上
ボクのせいで
悲しむものは無くていい
何人目かの飼い主が
首に付けてくれた鈴
何か忘れてしまったような
何でついて来るんだ
嬉しすぎるじゃないか
爪は立てられずに
優しく影を撫でた
なにかが零れそうなのが
わかったから恥ずかしくて
上を向いた
ボクにスポットライト
鈴みたいな真ん丸満月まで
ボクについて来てくれていたんだね
猛々しく猛々しくは
もう疲れちゃったよ
泣けるだけ泣いてみたいよ
こんな夜
一人きりなんてないって
誰に届かなくとも
唄うように唄うように
鈴の音が
今はただただ
愛しくて
忘れてたなにかに
気がつけそうで