詩人:どるとる
夜の舞台裏で 誰かが今日も 泣いたり笑ったりしているのだろう
幸せな顔してる人
涙で顔中 ぐしゃぐしゃになってる人
眠すぎて 何も考えられなくなってそれでも起きてる人
ただ睡魔にまかせて夢の中すやすや眠ってる人
様々な人がいる中で
夜も様々な表情で君や僕を見つめてるんだね
その表情が少しでも優しくありますように
願う僕の右足にすり寄る猫は餌をねだってる
シャットアウトした暗いパソコン画面にうつった僕の顔
いつになくマヌケ面さ
今、世界で何が起きてても直接的に関係あるものじゃなければ僕には関係のないこと
夜の窓は鏡のように
僕の姿をうつすから
ほら丸見え 涙まで
唯一の話し相手の猫を抱いてなんとなく少し窓開けて
吹きこむ春の風を感じて静かに目をつむる
そんな景色が幸せだというなら
名誉も地位も何もいらないから
いつまでもこんな景色が消えないように
僕は願おう
あ、今 星が流れた
猫のつぶらな瞳にも星が流れた
夜の舞台裏で誰かが泣いていようが
笑っていようが
いびきをたてて寝ていようが
僕には関係のないことだ
ただ僕は長いような短いようなこの夜の過ごし方をいつも考えるだけだ
そして十二時を告げる時計の音が
シンデレラの魔法を解くように
ほら僕は眠くなって
窓閉めてふとんにもぐりこんだ
ただそれだけの出来事が幸せに思えたならきっと素晴らしいことだろう
そんな夜の背景があることすら知らない昔の僕なら夜なんてただ眠るためだけにあるものだと笑ったろう
でも今なら短い中でもじゅうぶんにいろいろできること見つけられるから
夜を見つめる瞳が養われたから
きっと僕は魔法が解けるまでは好きなことして 笑えるんだ
なんちゃってね
また 寝返りうつ僕だ
今ごろどんな夢 見てるかな
君の夢におじゃましたいな
夢の中まで 君のこと。