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[184412] 追いつけるなら

詩人:千波 一也


数えきれない星座のようなきみが
言いようもなく妬ましかった

放課後の教室に射す茜の切なささえも
きみは上手に味方につけている気がして
ぼくは焦りだけを募らせていた


裏切ることをしない嘘もあるんだね
この世には

見限ることをしない本音もあるんだね
この世には

いつまで待っても買い手のない品物みたいに
ぼくに向かないすべての誉れを
詳しく知ることがぼくの日常だった


たぶん
追いつけるなら
何だってしただろう

でも、
なりふり構わずに
怖れから逃げるすべだけが
ぼくに光を与えてくれたから
今さら対峙しようだなんて
思えない


抱えきれない荷物など
ぼくの背には在りはしなかった

自由の意味に
こころから真剣に迷えるようなきみが
言いようもなく妬ましかった

追いつけるなら
何だってしただろう、なんて
過ぎたあとなら幾らでも語れる

何も残すことのない重みに耐えられるなら
幾らでも語れる



2014/03/22 (Sat)
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