詩人:甘味亭 真朱麻呂
この胸の中にある不安という影なき化け物は
遠くから見下ろしてる
いつか目の前に現れて
私をこの世から感情もろとも消し去るだろう
その時まで私はこの胸にある不安感を抱き続ける
たとえどんな励ましの言葉をもらおうが
それは一時の気休めにしかならない
なぜなら私の瞳にはいつも現実という恐怖が張りついて離れない
だから今見えているかすかな期待すら不安の多さにうずもれてしまう
絶望はいつだって私をからかいにくる
希望だと想って手を伸ばしたらいつの間にか絶望に変わって
またからかうように僕を悲しませる
暗闇の中で灯す光はこの闇の広さの中ではあまりに小さすぎるから
すぐにまた消えてしまう
無意味なほどにくり返す悪あがき
不安そしてまた不安
何層にも積み重なる終わりのない連鎖
こぼす涙は心の片隅ではじけ落ち
全身に広がりやがて私自身を蝕んでいく限りない悲しみの色
隙間もなく染め上げて
いつしか私に食らいつく
静かすぎる終わり
僕という物語の旅の終わり、すべてを終わらせるために
すべてにさよならをする死という終焉
淡くやさしくそれでも運命の前で絶対的に忠実に
冷酷残忍に私を奈落へ突き落とす
誰も責めることもできず
傷つくこともない心は
灰となり肥やしと化しても
その想いだけは永遠に消えず残る
それでも不安は積もり続ける
この命に終わりがこない限り
途切れぬ不安は僕を苦しめ続ける
事切れぬ苦悩と迷走の日々の中で
数を増やし生まれ続けるんだ
今か今かと大口を開けて舌なめずりしながら。