詩人:どるとる
時々自分のことがなぜか信じられなくなる
そんなときは仕事適当な理由つくって休んでひとり
宛てもなく電車に乗って適当な駅で降りて適当に昼食うのさ
いつの間にか 空はきれいなみかん色に染まって
知らない街はなぜだか懐かしさに包まれてる
駅へと向かうため
元来た道をたどる僕は小さな電気屋の前に来て
そこにうつるテレビをしばらく見てた
こんなふうに変わりなく続く当たり障りのない平穏な日々も爆弾が落ちてくるような刺激を求めて
さまよう旅人を生んだ
あたりまえな幸せというものもゆきすぎると傷になったりするんだな
すごく贅沢なようだけど僕には深刻な悩みなんだ
ブラウン管にうつる
どうでもいいニュース
あの儲かっていなさそうな電気屋のおやじもガラス越し見れば なんだかやる気のなさそうな顔でたばこふかしてた
全ては僕が成し遂げてきたことの結果なんだよ
ほら、色あせて見えても頑張りに応じた未来なんだ
これ以上 何もない
日帰り傷心旅行は旅してきた時間以上のものを心に残した
乗り合わせた運命に
この時代に生まれた僕に足りないもの
それが一体なんなねか
それがわかるまで僕はきっと何も変われないだろう
僕の人生はあの電気屋のガラス越しに暇つぶし程度で見たテレビのような
どうでもいい人生じゃないはずだろう
絶対に意味のある人生なんだろう
それなのに
テレビを消すように
ほら 暗い日常
帰って寝るだけの変わらない日々にマンネリ気味の僕にはこの日帰り傷心旅行はどんな意味をもたらすのかな
なんて 思ってみたりして
夜の静かな道を歩く
終電にはぜんぜん間に合ったけど
人生の最寄り駅はとうに過ぎたから
僕はぜんぜん考えにもない駅にたどり着いてしまったんだろう
あれ、見たことのない景色だ
でもこれからはここが僕の居場所なんだ
たとえ夢見た未来じゃなくても。