詩人:そほと
昔々ある所に一人の私が居りましたとさ
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私には
尊敬しているけど苦手
好きなのになぜか腹が立つ
そんなお方が一人居りました
ある日 おもてなし上手なそのお方が黒いお盆の上で
一粒一粒お米を選っておりましたので聞いてみました
「何をしているのですか?」
するとそのお方はこう言いました
「こうやって形の良いお米だけを集めて御飯を炊くと
おいしいのですよ
残ったお米は小鳥さんたちにあげると喜んで歌を歌ってくれます
でも お百姓さんに対しては言い訳ですね」
柔らかな春の日差しに包まれたたんぽぽの
わたぼうしのような笑顔をちらりと見せて
作業を続けられました
今は昔
いつまでたっても一向に成長する気配のない私は
柔らかな日差しに包まれて その一遍の詩を
痛いほど観賞しておりましたとさ
終わり