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詩人:哀華
例えば
私が風に苛まれ
悲しみに
暮れていた時にも
貴方は新しい家
幸せ溜まる
暖かな場所で
それも知らずに
笑って
いたのでしょうか
憎しみと愛情が
混同して
貴方を日々
深く否定し続けた
私を捨てたこと
今更間違いだなんて
言えませんが
日増しに増して
疲れていく女に
初めて煙草を
押しつけられた日
思い出したのは
白い壁の
大きな家の中
ポツリと散った
小さな目から流れる
水音なんかで
それで泣くことを
辞めたのは
記憶の断片
大きな手で
頭を撫でる
貴方の面影が
よぎったからでした
今日も眠れぬ
そんな夜
貴方は苦しんで
死んでいったと
人から聞いています
愛していると
一度だけでも
言うべきでした
過去は過去なりに
意味を帯びて
最低の記憶でも
懐かしさが
こみ上げるのです
愛していたと
遅すぎた報告を
今ここで
パパ。
最低の毎日は
そこに貴方が
生きていると
思えたから
私もなんとか
息をして
居られたんだ
愛していたから
本当に
届かないとしても
今、呟いて
みたかっただけ
いいでしょう
笑わないで
聞いていてね