詩人:千波 一也
冒険者たちは
いつも渇いていて
雨や
波間に
漂いやすい
けれど
冒険者たちは
それらの雨や波間について
潤いだとは語らない
なかなかに認めない
強情さがある
その強情さが
自らの弱さを深めてしまうけれど
冒険者たちは
みていない
いや
みていないふりをして
わずかな辛抱に
わずかな辛抱の重なりに
耐えかねて
なおさら
渇いていく
そんな悪循環に
同情した者たちや
辟易した者たちや
共振した者たちや
陶酔した者たちが
また
新しく
冒険に出る
冒険者たちが先か
旅が先か
冒険者たちは
もちろんその答に拘らない
ただ
渇いている己のために
癒しを求めていく
永遠をかけても
満たされないかも知れない予感を
そっと包み隠しながら
冒険者たちは今日も
古びた地図を広げている