詩人:千波 一也
あてもなく夜空をさすと
ぼくはきまって
指をしまい忘れるから
わらっていたね
きみは
わらっていたね
続くのだと思った
ぼくらは
ずっと許されて
永遠が
見えるのだと思った
高台からの眺めは
きれいだね
きっと
手が届かないから
きれいなんだね
だから
ぼくたちも
きれい、だよね
きれいなままでいるよね
きっと
ぼくには
もう出来ないことだけど
叶えたい夢が
あるんだ
ぼくには
描かずにいられない
星たちがあるんだ
それがたとえ
わからないきみでも
もしかしたら
叶えているかも知れない
きみでも
もう
確かめようもない
ぼくだから
夜空をさすよ
だまって
さすよ
そこからも
見えていたらいいな
すくわれようとして
のぼり急ぐ
尾の
ひとつでも
すくいようのない訳じゃない
尾のひとつひとつたち、
を
見つけてくれたらいいな
悲しくなんかないから
ぼくは
悔やんでなんかないから
つらくなんかないから
大丈夫
だから、かな
きみには
泣いてほしくないんだ
それだけは
守っていてほしいんだ
流れていくよ
もうじき
めぐり続ける息吹が
翼に
木々に
水面に
石くれに
いのりを託して
託されて
つらなってゆくよ
ああ
とおい夜空だね
こんなにも
とおい夜空だったんだね
こんなふうなら
ぼくは
安心して帰れるよ
むかえてくれる
おおきな波のなかへ
安心して
帰ってゆけるよ
ありがとう、って
ただ
ありがとう、って
やさしさと
重みとが
通過をはじめるよ
ほら、