詩人:甘味亭 真朱麻呂
急ぐ僕らのこと
なにも知らない人たちは日陰で笑って
涼しい顔をして当たり前な正しさをせせら笑う
涼やかな風の中でみた夢
それはすべて遠い夏の日の幻
内容なんか覚えちゃいない
覚えちゃいない…
ピーヒャラピーヒャラお囃子の音色
夢みたいな景色
提灯の灯りが彼方まで続いて
提灯がない場所まできてしまって
また面倒に思いながらもにぎやかな場所にもどる
やっぱり昔の僕はここにいたんだね
雲みたいに真っ白な綿菓子をちぎりながら
時間の流れというものの切なさだとか悲しさなどを
感じられた夏でした
申し訳ないほど学んできたことを形にはできなかったけど
きっとそれでもあの夏は僕にとって
なくてはならなかった大切な夏
決まりきったルールにとらわれた道ならこんなに泥だらけになれなかった
こんなに笑えなかったよね
今日と同じように街に提灯が灯るころ
今日と同じ笑顔を浮かべて綿菓子を君に買ってあげる
焼き鳥も輪投げもさせてあげる
花火も一緒に見に行く
夏は夏の僕の知らない君の笑顔に逢えるから
逢えない理由がどれだけ残酷であっても
日陰で誰かが笑っていても
僕は忘れないで
僕だけは忘れないで
覚えてるから
あの遠い日の夏のことも
君のこともずっと
覚えてるから
過ぎ去ってしまう夏にさよならする時
屋台を片づける人を見てしまった時
少しは涙してしまうかもだけど。