詩人:如月 儷衣
夢をみた。
ボクが生まれ落ちた日を
夢にみた。
顔を歪ませてボクは泪していた
泪は留まることをしらず
次から次に溢れだし
喉がはち切れんばかりの声で泣いた
ボクは疲れ果てて
瞳を閉じ眠りについた。
窓からさす光に揺り起こされた
頬には泪の後がくっきりと残る。
眠りながら泪するのは今日で何度目だろう
もう初めての日を思いだせない程だ
思考が勝手に働いて
悩みを運んで来る日々に
ボクは壊れてしまいそうだ。
この世界が出来たとき
住んでいたのは神ただ1人だった
寂しく思った神は自分の骨で
2人の生物を作った
そして、アダムとイヴという名前をつけ大切に育てた
3人での生活に神は満足していた
しかし
幸せはそう長く続かなかった
ある日、イヴとアダムが森で遊んでいると
悪い魔女が現れた。
2人はとても素直で心優しい子だったので
魔女の言葉に唆され
神が触れることさえ
禁じていた真紅の果実を口にしてしまった。
神の怒りをかった2人は世界の果て
地上に追放されてしまった。
それがヒトの原点だと語りつがれている
2人が口にした果実の名は《知恵の実》。
知恵ときに賢いが
ときに残酷だ
そして、汚い。
使いかたを誤れば
制御方法を知らなければ
凶器でしかないのだ。
神は全能であるから
禁を破った2人には与えなかった。
制御方法を
汚く薄汚れて生きろと
それが、罰であると。
そして、やっぱり
ボクはヒトに生まれたことを後悔している
この瞬間にもまた
ヒトが泪をうかべ地上に生をうける
悲痛な叫び声があちこちで溢れ
地上は泪にそまる。
アダムとイヴの罪はまだ許されるない
贖罪。
ヒトは知恵と言う足枷をつけ
生まれてくるのだ
泣き叫びながら。