詩人:望月敏彰
ある暑い日の 昼下がり
曇っためがねで見ていた世界
やることなすことうまくいかないと
思いながらも うまくいったことだけに
目を向けて 帳尻合わせ
こんなにも世界が輝いていると思えたのは
そこに存在するものを数え始めたから
いろんなものがあるよ
外に一歩踏み出すだけで
こんなにもいろんなものがあるよ
何もなかった世界から
いろんなものがある世界に変化した
それに気づけたのは きっと
失った経験からだろうな
普通にしていれば
衝突なんてありえない
紛争なんてありえない
戦争なんてありえない
人間は争う本能をいちばん
持たない動物のはずだった
自分が欲しいものだとしても
人に譲れる心を持つのが人間だ
一体何がそうさせた
それは人間が作ったものが
そうさせたんだ
銃を作れば それで脅し
通信網を作れば
人との比較が始まり
移動手段を作れば
いかに速くを求め
美味しいものを安く食べるために
不・自然の食品を使うようになった
人間は 子どもを痛めつけないようにと
子どもは可愛いと認識するように本能に組み込まれた
人間は 言葉が発達するようにと
人間同士 心が読めないようにした
人間は みんなが同じじゃないようにと
みんなをバラバラの性格にした
人間は 楽しいことをが好きになるようにと
楽しいと笑顔になり 笑顔が好きだと組み込まれた
人間は すべての人と手をつないだら輪になれるようにと
手が2本になるように作られた
うまく利用すれば
とても良い世界に
これほどまでに
人間が間違って使ってしまっていて
昔にはなかった便利なもの
使い方を間違えちゃいけないよな
いつだって
いちばん大事なのは人間ひとりひとりで
どこでも食べ物が買えて
どこでも飲み物が買えるこの日本で
この世界を再認識した
ある暑い日の 昼下がり