詩人:凜一
やがてまっ白に包まれる街の中で
見つかりっこない
君の姿を探していた
「愛してる」も
「サヨナラ」も
この街のどこかに残っているのかな
例えば僕の心とか
僕の涙とか
君がいなくなって
君以外の誰かに笑うことを躊躇う日々が続いた
それでもようやく
想いが薄れ
少しずつ笑顔の感覚を取り戻してきたけど
独りの冬が訪れる
たぶん君だけを思い出す
君と過ごした幸せな日々は
この淡い雪のように消えていったけれど
君が教えてくれた
「ありがとう」だけは
失くさないように
色褪せないように
しっかり抱きしめて
これからも歩いていけるよ
「ありがとう」
君が最後にくれた
「サヨナラ」に
あの時
僕は何も言えずにいたけど
いまなら笑って伝えられるだろう
幸せな日々を
大切な季節を
共に生きた喜びを
忘れたりしない思い出を
「ありがとう」
「ありがとう」
空を見上げれば初雪
君のいない季節
そっと伝う涙に
「まだ愛しい」なんて
届かない叫びが響かないように
僕はそっと歩きだす
確かに愛しあった
愛してた
「ありがとう」と笑う
君のすべてを