詩人:千波 一也
よばれた気がしてふり返る、と案の定だれもいない もう幾度となく通いつづけた道の途中で わたしは今日も花を咲かせる いつかまた不意に、懐かしく わたしの足を止めるだろう花を ここらで咲かせる そんな ささいなわたしの傍らを風は軽やかにくぐり抜けて きっと無数の花を揺らしていったにちがいない時が咲いている見るも触れるもかなわなくても ひとりわかればいい、と わたしを満たして笑んでいる