詩人:どるとる
二十歳という岐路に立っている僕の目の前にまだどこまでもつづく道がある
どこまで生きれるかはわからないけれど
運がよければ100歳まで守備よくゆけるだろう
二十歳だからといって
なんでもしっかりできるなんてことはない
足りないもののほうが多いくらいさ
ただ季節がまたひとつめぐっただけ
それだけで人は大人にもなる
どんなに子供じみてても大人になってしまう
僕はきっと必要なものすらないままで大人になった大人だ
今 二十歳の僕へ
言えることは何もない
ただ、頑張ってくださいと他人ごとのように言うだけさ
悲しみも喜びもこの先ずっと続くなら
ただそれに合わせ笑ったり泣いたりするだけ
たとえどんなことがあってもいつまでも僕は僕だから
いつまでも言葉下手で
いつまでも不器用なままだろう
大きく変わることはない
庭の花壇にも別段変化はない
見上げた空の広さが変わらないように
ほら僕も何ひとつ変わらないまま
二十歳でも三十歳でも六十になっても
僕は変わらず僕だ
だから言えることは
ただひとつだよ
その歳その歳を楽しんでくださいとぼそりとつぶやくだけ
二十歳になったからといって
何が変わるわけでもない
僕はひっくり返っても僕のままだ
二十歳などただの通過点だよ
季節がめぐれば人は準備がままならずとも大人になってしまうんだから
時は気が短いから
待ってなどくれないから
僕もなるようになっただけ
歩いた歩数が知れるだけ
変わらない僕がいるだけ
無意味に流した時間と記憶に残した足跡
その全てが僕に通じてる
ほら、どの記憶を手繰り寄せてみても僕に行き着くんだよ
地面に落ちた涙が
光り輝く 今日も不自然なまでに夜は更けて
しまりのない朝の始まり 始まり
名ばかりの二十歳の祝福を申し訳程度に受け取るだけ
ああわき上がる拍手はむなしい期待に満ちている。