詩人:りんくす
理解しあうって
全部を知ることが終着駅ではない
知り得たことを踏まえたうえで
その人のコンプレックスを
どれほど許せるか…
許せなければ
理解の汽車を降りるだけ
他の汽車が乗り入れる大きな駅では
沢山の人の乗り降りがあるだろう
無人駅でひっそり降りる人もいるだろう
誰も乗っていないときもある
それでも汽車は走るのだ
環状感情線は大都市の心臓の回りを
いつの時もぐるぐる回る
ターミナルがないから
そして汽車の中に
ずっと座り
本など読み
編み物をし
居眠りしていてもいい
降りる素振りもなく
唯一の人がいてくれるのなら
汽車はノスタルジーのテンポで
優しく揺れながら
また走り出せるのだ