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詩人:どるとる
シャーロック・ホームズにビッグベン
そんな有名な名前がある都市
ロンドン
ロンドンには深い霧がよく似合う
ミステリアスな街なのさ
それでも僕の心にかかった迷いと不安の霧はロンドンの霧なんか問題じゃないくらいに濃く深い
終わりのない霧
どこまでも見えないほどの霧さ
そしてシャーロック・ホームズでさえその深い深い謎を解くのは難を要するはずだ
シャーロック・ホームズだってそればかりにはお得意の推理でさえお手上げだ
ワトソンなんかもう迷いすぎて寝込む始末
なんて
だから僕の心には果てしなく果てしなく霧がかったミステリアスな暗闇が広がってる
それはそれはロンドンの霧は今夜も深いだろうけど
そんなことよりもずっとずっと僕ら人間の心の中に広がる霧のほうが深くてさらには濃いのさ
ロンドンの霧が…なんて問題じゃないのさ
霧の中だって歩けるならばロンドンの霧は優しい霧だよ
だけれどだけれど僕の持つこの心に広がる霧は足元でさえ見えぬ白濁した霧なのさ まるで牛乳の中にいるみたい
一歩足を踏み外せば奈落の底
そういうこともあり得るからこわいね
ロンドンは行ったことはない
だけれど噂を聞く限りじゃ大したことはないね
そうだろ?人間たちよ
君の霧は例えばどうだい?
今日も君を迷わしてるはずだよ?
いわば迷いの霧の中のシャーロック・ホームズってとこだ
みんな みんな みんな
今日も
朝昼晩とその霧の中
下手すれば夢の中まで霧で真っ白
なんて悲しい僕ら
それでも霧は進む
その勇気と決意に
ノーベル国民栄誉賞を授与したいね
ロンドンの霧より
深く濃いこの迷いに立ち向かう強さに
その勇気に。