詩人:浜崎 智幸
・
夜に川を渡る水音
風を切った矢になり
胸に刺さる
言葉もなしに
海に沈んだ太陽の光を吸って
夜ごとに光る呪われた苔を窺う
光る苔を盗む者は許さない
たとえ知らず苔に触れた人でさえ
愛を水に変える虚白
声をからし叫ぶ恋人
すでに愛は
指を離れた
まどろみながら傷ついた体をさする
鬼火のような燐光が瞼に焦がれる
暗い窓に苔盗人が映った
青いガラス破って弾丸を放った
誘蛾灯になった苔たち
銃の叫び森を震わす
その人の死体は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・足元
2025/08/03 (Sun)