詩人:あいる
初めから
理不尽の在処を探して
まわりのことに
目を向けなかった
黄金色の海に人魚
ナイーヴな夜の森
ボクの部屋の片隅に
キャンドルライト
月夜が残酷に眩しすぎる
今宵に乾杯
ファスナーの間に
指をはさんで血が滲む
舐めると懐かしい味がした
今夜は雨が降る気がする
それでボクは
見えない月を探して
初めからやり直せない
思い出と戦って
体についた傷をなぞって
重複する悲しみを
日めくり破って
派手に痛む火傷みたいな
胸の奥の腐食に惨敗
酸性の雨が落ちてくる
滲んだ指先は錆びている
君の深海みたいなルージュ
指を繋いで歩く
君とボクは離れられない
理由を探して
軋んだ瞳は不思議な色
今まばたきしちゃだめだ
ほろほろ
緩やかに流れ出た潤滑剤
錆びてたボクら動きだした
あの頃の瞳をしてる君
何度も溺れた
君の深海みたいなルージュ