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詩人:どるとる
作文や詩を書こうにも言葉がいつも足りない
つかいたいときにかぎって金が足りない
無駄遣いしすぎてしまう
つまり頭が足りない
でもそのぶん愛と優しさに心はあふれてる
おだやかな性格が災いすることで足りないものは足りてるものよりかぎりなく多い
でもそのぶんくだらないようなしあわせは他人より小さい範囲内で満たされる
ただ心はいつもわがままで形があるものを絶え間なく欲するだけ
そしていつも気づけば財布の中身はあぶくと消えた札束のかわりにそのぶんくずされた小銭ばかりが財布を無意味に重くする
今、足りてるもの
今、足りないもの
今、欲しいもの
今、要らないもの
その全てが思うようにいったならきっと僕はお金の価値がわからなくなり見えないものの価値が安っぽくみえてしまうのだろう
それでも僕の欲望はとどまることを知らない暴走列車
荒い鼻息をあげながら本能という名のレールを走り続ける愚かな日常
足りないものより多いものは無意味なものばかり
足りてるものより多いものはあとになって考えれば要らないものばかり
それよりずっと価値のあるものがあとになって出てきてもそれと引き換えにできる金はない
あるべきものなど何もない
あるのはあってもなんの役にも立たない欲望のままに買い込んだ無意味極まりないゴミばかり
電池の入ってない
おもちゃのように
それはなんの意味もなさず部屋の隅っこで
そこにある意味も価値もなく廃れてくだけ
専ら足りないものより多いものはいつだって足りてるものより多いものでもある
あっても無意味な痛手だけ
記憶にもあざやかな
不愉快極まりない
思い出に染みついた
シミのようにそれは
後々の自分の首を締めつけるだけ
大事なものは足りもせず
足りているものは
あっても意味もなく
ここにある全てのものは命やその他もろもろ以外全て無駄に金をつぎ込んだという証だけさ。