詩人:あいる
手放した風船は
それはそれで綺麗
破裂する前に
美しいままに
ほしい音を捕えられなくて途方もなく渇く本能
泣きそになったら
この指とまれ
十代最後のうたさ
ピンクイロ
木漏れ日の中で
狂気にみちる
たゆたう記憶の揺りかご
たゆたう記憶のほとり
想いの降る街で
とり残された足跡爆発
さざ波のように
さざ波のように
よせてひいて
プリズムアスファルト
手放した風船は
それはそれで綺麗で
届かなくなると
ひどく愛しい
月を割ろうと爪を立てる猫
引き寄せているのかもしれない
今夜は月が大きいから
足元たゆたうさざ波のうた
ブーツにこびりていた
プリズムアスファルト
素足を浸して
破いた孤独に装飾を重ねる
ポッケにいくつかある
乾いた火種を
ブーツの船にまいて
さざ波に委ねた
ボクの記憶を祝うように
ブーツに根をはる
思い出降る街で
新芽が顔をだす
ボクの指に巻きついた
愛しくなったら
この指とまれ
ボクの捕えられないとこで
割れた風船が奏でた
十代最後のうたさ