詩人:どるとる
さみしいくせして平気な面で生きている
嘘で塗り固めた笑顔で涙を隠しても
心の中はどしゃ降りの雨 僕はずぶ濡れ
人波をかき分けて
せっかくの白い
スニーカーさえも
もとの色がわからなくなるくらい汚れて
名前のない季節が
名前をつけるまでもないなんの意味もない季節が また僕の隣にずかずか座ったよ
そして挨拶もなく
過ぎ去ったよ
時間はつねに事細かに全てを仕切る
どっかの誰かさんみたいにきっちり生きることなんてできなくてもいい
この世界は 幻のようなものだから
いちいち本気で生きてみたって 疲れるだけ
それより目の前にある少なからずも輝いている 喜びのかけらを拾うことに精一杯になろう
汚れのない人生に
本当の光はないから
僕は泥にまみれて
風にあおられて
名前のない季節はしつこいあいつみたいに何度だって
答を問いただすから
適当な返事でその場はやり過ごせれば
そのうち 僕にも素晴らしい明日がやってくるから
なんの予感もなくても そう言えてしまえる僕は素敵だから
枯れ葉一枚 ひらひら落ちて
やがて 冬も過ぎ
全てを焼き尽くすような 狂った暑さに干からびる夏が忍び寄って来て
そして 今 思う
完璧よりも不器用なことで笑い飛ばせる今がある
きっと僕にこの先何があっても僕なら平気な面で身勝手なくらい笑い飛ばせるから
名前のない季節に出会うそのたび 僕はいくらだって思う
失敗重ね
寝てばかりの日々でも光るものはある
ほら ここにも
あそこにも
どこにでも
そうさ 僕は生きてる
それ以上 何ひとつ
素晴らしいものはないんだ
名前のない季節が
名前をつけるまでもないなんの意味もない季節が また僕の隣にずかずか座ったよ
そして挨拶もなく
過ぎ去ったよ
その後ろ姿はまるで沈む夕日みたいだったから
不意に切なくなる
でも手を振る僕がここにいたんだ。