詩人:どるとる
紅茶色に染まった空をなにげなく見ていた
夕暮れは赤茶けて
町はいやに静かで
桜並木の桜も
散り始めて
夏の足音がかすかに聞こえた気がした
黄昏ているんだよ
見ればわかるだろ
僕は黄昏ているんだ
意味なんかあってたまるもんか
そうさ意味なんかない
でもなぜか心のどっかの回路が黄昏るこの時を 大切にしなさいと 訴えかける
だから僕は黄昏る
目いっぱい
目いっぱい
紅茶色に今日も染まる空と
それを眺める僕
構図はいつもいたってシンプル
だけれど なんだかロマンにあふれちゃってる
黄昏る意味はない
けれど黄昏ることで見えてくる何かがあるなら それは意味のある時間だと
叫ぶ 心の中の自分が
涙をポロポロ流しながら 僕に訴えかける
夏の足音は昨日より近く感じる
黄昏ているんだよ
放っておいてくれ
僕は黄昏ているんだ
何も言わさせないでくれ
邪魔されたくないんだよ
ああなぜか心のどっかの回路が黄昏るこの時を 大切にしなさいと 訴えかける
1人だからこそ
にじみ出る 味わい
広がる ほろ苦さ
それは まるではじめて飲むブラックコーヒーみたいだった
今日も赤茶けた空につぶやく
変わらないし変えようもない
僕のこの心がつくり出した時間
不必要なんかじゃないさ
無意味な時間だと決めつけないで
黄昏ることに意味があるんじゃないよ
意味があるのは
黄昏ることで見える答に意味があるんだ
黄昏ることも必要なときは必要なんだ
見えてくるものが何かあるならば
どれくらい時間がかかっても 何度だって何度だって
僕は頭の中
そろばんはじくように試行錯誤するように黄昏るんだ
それはいわゆるひとつの計算
はじき出された答が明日につながってはさらにそのまた明日につながってゆく
そしてまた僕は黄昏る
新しい答を割り出すために
空に意識を投げる。