詩人:アル
《プロポーズ》
俺は哀しみとか
妬みや憎しみ
恐れ、怒りだとか
そんな
人間的感情が
先天的に欠けている。
だから
涙は流れないんだ。
だけど、ユキちゃんは
泣きたいなら
泣いていいんだ。
我慢する必要なんてない
主任…
いいよ?
このシャツ
まだ下ろし立てだけど
ユキちゃんの鼻水なら
許してあげる。
主任…(涙笑)
あ、それから
有機合成の山崎部長から
香典預かってる。
「陸上で鍛えた
健康的な足で
早く立ち上がれ」
そう伝えてくれって(笑)
山崎さん…
ユキちゃん
大事な話があるんだ。
お婆ちゃん亡くなって
まだ間がなくて
なんだけど…
はい…
俺、来年の春に
中国の瀋陽の営業所に
行くことになりそうだ。
えっ!?
ユキちゃん、
一緒に行ってくれない?
……?
僕と結婚して下さい。