詩人:どるとる
ふと目を閉じると
思い出すときがある
昔の幼い記憶を
僕はいつでも
泣いてばかりいたし
おねしょをして
布団に地図を描いた
だけれどひとつだけ
利口だったのは
誰にでもやさしくできること
思い出のひとつひとつを星を数えるように思い出しては
悲しい記憶に泣いて
楽しい記憶に笑って
荷物ばかりに場所をとられた六畳一間の部屋の中で ひとり
感傷にひたる
まぶたを開ければ
いつもの殺風景な部屋があるだけ
壁にはいくつかの写真が掛けられてる
いつまでも思い出に後ろ髪ひかれ
いつまでも思い出に縛られたまま
暗い暗い宇宙の中をただよう小さな石ころみたいにもうかえれない大切なあの場所に思いを馳せ
さまよい歩く
広い広い記憶の宇宙
どこからやって来て
どこへ消えていくのか
それさえわからない
けど
今日も記憶のページをめくっては
薄れゆく記憶をつなぎ止めるように
新しい記憶でやぶれた部分をおぎなうのです
空がどこまでも果てしないように
花は咲けばいつか散るように
太陽が沈んだなら明けない夜はないみたいに
つよく 前に踏み出せる力がかならず誰にもある
昔は昔
今は今
曖昧にでも
割り切って
生きていけたら
過ぎ行く時間も
走り去る季節も
今まで積み重ねてきた思い出も単に過ぎ去った昔話にはならないはず
目を開けて
そこに見えた
景色に叫ぼう
記憶の宇宙は
今 やっと
終焉に
たどり着いた
物語の終わり
新しい始まり
それはここから
いつまでも思い出に後ろ髪ひかれ
いつまでも思い出に縛られたまま
暗い暗い宇宙の中をただよう小さな石ころみたいにもうかえれない大切なあの場所に思いを馳せ
さまよい歩く
広い広い記憶の宇宙
そしてまた 思い出すときがあればまた 花が咲くように過ぎ去った昔をそれはそれは懐かしく思い出せるだろう
宝石箱開ければ煌めく宝石が。