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[156063] 詩人は静かに口をむすぶ

詩人:どるとる


言葉にならない思いは黙ったままでもいい
言葉にするのが詩人だけれど言葉にならない思いならば
寡黙になって見送ろう

葉も花もつけない
枝だけの細い細い
今にも倒れそうな木
たまに吹く風に
揺れている
ふるえてる

言葉にならない思いにぶつかったとき
詩人はただの人になる
詩人はただの生き物になる
言葉にならない思いを見つけたとき
詩人は言葉をなくす
詩人はイメージできない苛立ちを抱える
冷静さを欠いた日々
寡黙でいるのも限界がきている

だから詩人は静かに口をむすぶ
そんなときがある

いくつもの思いの数だけイメージはない
どれだけの月日を歩んできても 経験を積まない日々ならば無意味で 中身のないスカスカの 人生だよ

それでも詩人は詩人だから 不器用な言葉でも誰かに届くよう
誰かの心を救えるよう少しは考える
眠れない夜にささやかな明かりともすような
日当たりが悪い部屋にささやかな明かり差し込むような

そんな思いをいつでもどんな詩にも込めて
言葉の海を泳ぎ
輝く宝石をあたりに散りばめて
詩人は今日も言葉を綴るのです

言葉にならない思いに出会うその時
詩人はただの人になる
詩人はふつうの人になる
言葉にならない思いの目の前じゃ
詩人は無口になるよ
詩人はイメージできない苛立ちを抱える
冷静さを欠いた日々
寡黙でいるのも限界がきている

だから詩人は静かに口をむすぶ
そんなときがある

今、綴る言葉の中に
愛を宿そうか
それとも夢と期待にあふれたロマンを散りばめようか
やめておこう
今は言葉にならない思いだから

詩人は言葉にならない思いに出会ったら
そのときは何も言えなくなるから 何を期待されても 美しい台詞さえ 行き詰まる

誰にも責められないように夢の中へ逃げる
言葉に背を向けて
それでも 夢の中でも探してるよ

それは仕方ない位詩人だから。

2010/05/15 (Sat)
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