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詩人:緋文字
両手をあわせ
まるく
膨らませるように
紙風船のように
まるく
膨らませたこの手の中に
息を吹き込む
ひらけば
なにか
生まれていて欲しい
時間が経てば
紙風船のように
ひしゃげてしまうことはしっているけど
そうね
覗きこんだ時すこしの間
わたしにだけ見えるものでいい
なにか
みせてくれたらいい
わたしの中には
要らないものばかり
生まれて
でもあわせて
これも私
紙のように薄い
生き方かもしれない
と思う
なにも遺せず
なにも残さない
それも幸
これも私
少なくとも 拉げるまでは