詩人:どるとる
石ころころころころがってどこへ行くのか
石ころころころすり減って やがて跡形もなく消えるのに
何を笑ってるのか
死ぬから笑ってるか
死んだら笑えないから今のうちに笑っとこうってことなのか
小さな石ころは坂道を一生懸命のぼり
やがて土煙にまかれ
下り坂にさしかかるころには だいぶ小さくなっていてさ
ころころ下り坂をくだる石ころはだんだん小さくなる
ここからはもう時間の問題だよ
僕は悲しい石ころ
時には涙の川を泳ぎ
ずぶ濡れで泣いちゃう
それでも石ころはつよくつよく生きて
それでも石ころはいつか訪れる運命を知りつつも 終わりまで生きる
そんなそんなそんな僕は石ころ
ただのちっぽけなのね
みんなただの石ころ
生まれたことが
運のいいことなのか
それとも
運の悪いことなのか
何ひとつ答出せないまま
石ころは少しずつこうしてるあいだにも小さく小さくなっていく
それを悲しいことだと考えるよりせっかく授かった貴重な時間をありがたく思う
たとえいつか死が訪れても 僕はまがりなりにも頑丈な石頭の石ころだから
歳をとって いつか
お迎え来るまで
生きる 僕は石ころ
すり減ってゆく命
無くなってゆく時間
それはどうにもならないことだとあきらめたら なんだか肩の力も抜けてきたんだ
そして 誰かと笑いあうことの意味も誰かと愛しあうことの意味もわかった気がしたんだよ
いろんな悩みで眠れない夜も
空気が抜けたようなさびしい朝も
石ころなりにころころところがってゆく
たどり着く場所はいつでも明日という駅
昨日より年老いた瞳には何が見えるだろう?
でもいつまでも変わらないのは 僕が石ころだってことだよ。