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[979] 晩餐

詩人:soRa

君が楽しそうにキッチンに立って
鼻歌なんか歌っているから
僕は心の準備を始めた
何だか舌を噛みそうな名前の
フランス料理を作るのだそうだ

僕はその迫り来る恐怖をまぎらすために
君の鼻歌に合わせてピアノなんて弾いてみた

時々君が首を傾げたりするものだから
僕の心も僕の弾くピアノも
いつしかマイナー調の旋律を奏でていた

とうとう並べられてしまったそれらは
見た目こそ綺麗だったけど不思議な香りがしていて
それを君がフランスの香りねって言ってのけたのには
驚いたけど精一杯の笑顔を作り覚悟を決めた

一通り説明を聞いたがよく分からなかったので
薬屋さんまでの道のりを思い浮かべながら
思い切って口に運んだ
・・・最悪だった

君の感想もきっと同じだったのだろう
二人の会話は途切れたし
決して目を合わそうとはしなかったから

それでも
同じ気持ちで居れたことに奇妙な喜びを感じながら
静かな夜は過ぎていった

2003/03/06 (Thu)
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