詩人:麗華塵
蒼く囁く雨降る夜
ただ聞こえるのは兄の泣き声
「この部屋に入ってはいけない」と
兄に言われていなければ
か弱き力を振るわせて
今日もドアの前で静かにたたずむ…
あぁ…何故母は助けてくれない
冷蔵庫に毎日語り掛けては
淋しさと苦しさに潰される
兄は毎日私を抱きしめてくれて
狂おしいほどキスしてくれた
兄の欲望の掃き溜めと知っていながら
私は兄が大好きです
蒼く囁く雨降る夜に
ただ聞こえる兄の泣き声
兄の言い付けを盾にして
今日も私は戦うことはない
ドアの前で両手を震わす
ナイフを持った両手を震わす
そんな勇気があるはずもなく
ただただ弱い悲しみに暮れる夜
あぁ…何故母は助けてくれない
何度も冷蔵庫に語り掛けては
ただ笑うことしかしない母
ある日、兄があの部屋からでてこなくなった
母と同じ部屋に兄がいた
今度は私の番であろうか
ナイフを首に当てては
泣いて崩れた