詩人:剛田奇作
凍る風の吐息を学んだ冬が
夏の焼けるアスファルトに、少しでも永くキスをしたがる
大地に、張り付く痛ましいアスファルトは
それでも僕の故郷らしいから
疲れて横たわる、真っ暗な明日は
愛が滴る 感度のいいベランダに、昨日を招く
灰色のサラリーマンが
巧妙に造られた愉快さで
指で弾く虹
虹に掴まっていたギリギリの通学路は
あの時と同じ固さで両足に、のしかかるけど
僕にはもう、残り物が多すぎて、新品は要らないんだ
沈み込むような音楽が流れて
たぶん色で言うなら
深緑にとかした白と
滲む朱中の黒光り
携帯からは、スタートボタンのかけらが突き出て
遅い迎えに、クレームをつけてた
僕は
きっと、微笑む