詩人:どるとる
麦わら帽子が熱風にあおられて気づく夏
君の手がつかむ線香花火がポタリ落ちて終わる夏
夏のはじめはだんだんと暑さは増していって
そしてしばらくののちだんだんと暑さは引いてゆく
小麦色の夏の青い空の下で稲穂が揺れた朝
僕のもとに届いた
暑中見舞い
玄関を飛び出す
汗をぬぐい
白いスニーカーが
白馬のように地面を駆ける
もう季節は早いもので夏はそこまで来てる
じわりと汗はにじんでは冷めていく
立ち止まればそこに夕暮れ
沿岸で食べるスイカと君とした種飛ばし
そんな思い出も夏の暑さのようにだんだんと淡くなる
狂おしい暑さもなぜか夏が終わるころには 恋しくなる
そんなものさと話す
君と 祭りのお囃子の中へ ちょうちんと出店の並ぶ景色の中へ
そうして解けるように
夏はちぎれ雲のように
目を覚ませば終わる
なければ淋しい幻も直に感じればうっとうしいものなれど
なぜか恋しさと名残惜しさ残す夏
夏はそこまで
もう 来ているよ
目を開ければ
窓の外に広がる
夏の青空と
真っ白な雲
焼けるような暑さ
それが夏だから。