詩人:EASY
ごめんね
もう時効だよね
実は俺
昔ここらの下町の
笑顔の絶えない
平和な悪ガキだった
そんでさ
スーパーの仕入れの
蒸しパンやらあんパンやら
調子のいい時は
俺等の中では当たりと呼んでた
エクレア何かを盗んでは
笑顔で仲間と食べていた
それを
通称
朝パンと呼んでいた
単純に
時間が朝だから
社会的には最悪だ
ごめんなさい
けして
貧乏だった訳じゃないし
腹がそこまで減っていた訳でもない
盗んでいたのはパンだけど
俺達は
あの時笑顔を盗んでたんだ
悪気はなかったんだ
なんて
言い訳になるかな
でもね
最近気付いたよ
あの頃していた
ピンポンダッシュのおやっさん
あのインターホンならしてダッシュで逃げるってやつ
あの時
一度だけ
遠くから
おやっさんの笑顔が見えた時があった
怒ってんのにさ
微妙に笑ってんの
なんだろ?って思ってた
今その笑顔の意味が分かるんだ
朝パンで盗んでた笑顔をさ
あのおやっさん知ってたんだよ
朝パン笑顔の大切さをさ
だからあんなに怒鳴り声あげて
怒りまくってたんだろうな
「クソガキ!コラ待て!」って
まぁ悪いの俺等だけどさ
今思えば
あのおやっさんから
大事な事を教えられてたのかなぁって思う
社会的道徳じゃなくてさ
朝パン笑顔をさ
だから怒って遠くで笑ってたんだよ
社会的には最悪だけど
俺もおやっさんみたいになれっかな
コラ!クソガキ!って
遠くで笑ってさ