詩人:詩奈
帰り道
自転車で見上げる空の星は
なんだか
感傷に浸りたくなるのです
例えば
早過ぎる時の流れと
それと共に
多くを失った感覚
星に手を伸ばしたけれど
届くはずもなく
掴めるはずもなく
ただ空をきるのです
冷えた空気は
この先の未来を
教えてなどくれません
わたしは
どこへ行きたいのか
風に揺られた木は
冷たくざわめくだけ
気付けば自転車も
タイヤの空気は
ゆるんでいました
いつからかしらと
タイヤを触れば
手がかじかみ
力は入らないのでした
帰り道
自転車を押しながら
見上げる空の星は
なんだか感傷に
浸りたくなるのです
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