詩人:チェシャ猫
塗り隠された想いが剥がれてゆく
後戻りできないこの場所に僕は立っているよ
瞳を閉じればまだそこに
二人の影は揺れている・・・・
もう君さえ描けない瓦礫の上で
辿り着いた世界に花は咲かなかった
おざなりにして捨ててきた心に
今ようやく痛みが追いついた
満たされていた世界に
この手はまだ何を求めていたのか
手を伸ばせば未来にも触れたのに・・・
ねえ
あの日よりも少し色褪せた月がキレイだよ
変わらない景色に包まれて消えそうになりながら
まだ残映にしがみつく
せめて終わりを告げてくれるなら
気付きはせぬ程にやさしく
この場所で見た欠片を壊してはくれないか??
今更になって何を祈れば救われる
横たわる行き場の無い涙に
まだ赦しは得られぬのに
ねえ
あの日より傷ついたこの手で
もう君は抱けないのかな??
いっそあの日の僕を失くしてはくれないか
もう願うことすら与えられぬのなら
その手で壊してくれないか??