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詩人:どるとる
ふいに目の前の景色がにじんでゆくときがある
悲しみにはち合わせるときがある
おでことおでこをぶつけたようなめまいが僕をおそう
涙と笑顔できれいに飾られた1日が様々な記憶で彩られた今日が終わっていくことさえ当たり前になった今では僕にははじめてこの世界に産み落とされたときの夕暮れさえ覚えていない
そして今日もオレンジ色に染まる空がなぜか切なくて
にじんでゆくんだ
「さよなら」で締めくくられる ありふれた物語の一ページが静かに今閉じられようとする
小さな星々がまたたくような夜の月明かりにはこばれて この部屋に夢をとどける
そのページをめくるのは 僕じゃないから止められないし
飛ばし読みも戻したりもできない
ただページはめくられる 時間という風に流されて
さあ 人生でいうところの教科書の20ページを開いてごらん
そこには何がある?
生誕20年にしては
厚みのない
毎日があるだけ
涙ばかりの
僕がいるだけ
そしてまたページはめくられて 新しい今日がはじまる
こっちの言い分なんか無視されて。