詩人:どるとる
とくに思い出もない母校の真横を駆け足で通り過ぎて
夕方から降り出した雨に傘を開く
家に帰ってもなにしても切なさは変わらない
なんとなく このごろ吸うたばこの量も多くなった
机の上の灰皿は山盛りの吸い殻とやり場のない切なさであふれてる
この行き場のない思いはたばこの煙とともに空へ舞い上がる
吐き出した溜め息が肺よりもまず心を蝕むだろう
まだ癒えてなくて触れられたくないような傷跡に重なるように
悲しみは連続的に僕を涙させる
傷跡に雨は降る
しみわたる切なさ
空は淡い あめ色
遮二無二 走り続けた過去が思い浮かぶ
グラウンドに太陽の抜け殻みたいな影が落ちる
夕闇にのみこまれる街
激しさを増す雨
そして まぶた閉ざす僕
雨音に耳 塞ぐ夜
まだ癒えてなくて触れられたくないような傷跡に重なるように
悲しみは日常的に僕を涙させる
傷口が開いてく
気休めの光
はけ口のない日々
ラジオから流れる誰かさんの機械的な歌声と雨音だけが心を通り過ぎてく
そしてまたたばこをふかす 悪循環のサイクル
まだ癒えてなくて
触れられたくなくて
一人になりたくて
気づくといつもの路地裏の日影
この世の楽園は
こんな近くにあるのに
悲しむために走り
僕はわかりきった
明日に泣くのさ
そしてまた傷跡に雨が降る
死ぬまで何度でも雨は降る。