詩人:さみだれ
震える手でノックを三回静かな町に響いた幽霊は聞くどちら様ですかそれは暗い満月の話で誰も寝静まった頃の出会いでマグカップに底はないずいぶん昔に抜けたらしい何もないものを飲み干した幽霊は楽しそうに透明になって笑うそれは狂ったように墓を間違えたように凍える手で明かりを消した音がなくなり月は語りだす幽霊もまた暗がりに目立つから恥ずかしいそれは時間のない話で誰も知らない昼の逢瀬