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[10632] ぼくたちの儀式

詩人:望月 ゆき

夕暮れになると海に行く


夕暮れ時の海は
まだ かろうじて
空にひっかかっている太陽に照らされ
遠くをゆく船も 
その意思を無視され 
逆光に姿を消す

夕暮れ時の海は 
ひっきりなしにどこからか
オレンヂジュースが大量に流れ込んでいる
それだけはたしかだ

太陽の力が尽きて
空から落っこちてしまうと
イカやタコがいっせいに
やっきになって墨を吐き出す
そのおかげで 海にも夜が来る

海が墨で真っ黒に染まるのを待って
ぼくたちは 家路につく

朝はどうやって訪れるんだっけ
なんて話をしながら

ぼくたちの毎日の
ぼくたちの儀式

2004/07/31 (Sat)
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