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[109344] 放課後、図書室で待ってる

詩人:甘味亭 真朱麻呂


放課後、
図書室でいつも本を読んでいる君
僕は声をかけてみる『隣いいかな…?』

いつの間にか
僕は毎日放課後になると図書室に来て
君と一緒に君の隣で約束した訳じゃないけど
特別な話をするわけでもないけど
ただ君と本を読む
内容すら頭に入ってないけど

夕暮れ、
帰り道で偶然君に出くわして君と帰る
僕は少し落ち着かなそうにしていた

いつの間にか
商店街を抜けて神社の鳥居の前に来た
君はこっちといって僕を呼ぶ透き通った声で
僕だけにおしえてくれた宝物の在処
名前も知らない君からしても僕からしても
なんだか不思議な居合わせだね

そのうち
君と僕は成り行きで彼女と彼氏という関係になって
授業中も話し込んで一緒にしかられた
ねぇ覚えてる?

放課後、
図書室へいつものように行く僕がいた
いつもと同じ時間でもなぜか君はいなかった

よく君が読んでた
本を徐に手に取ると
するりと何かが落ちる
『黙っててごめんね私は越します』
遠くなると会えないからさびしくなるからって書き残して
君は卒業式の数ヶ月前図書室から消えてった

放課後、
図書室に行くこともなくなった僕が
なぜかまたここにきたのは去年の今日
君が行ってしまったから
連絡くらい寄越せばいいのに
君は今何をしてる?
外国の生活には慣れたかい?

放課後、
図書室でいつも本を読んでいる君
僕は声をかけてみる『隣いいかな…?』

僕は忘れないよ
ほんの数ヶ月のつきあいだったけど
図書室での事を

二十歳になったら今日と同じ日時に
放課後、図書室で待ってる
あの透き通った声の君を待ってるから
大人びた君を待ってるから。

2007/09/09 (Sun)
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