詩人:愛
テレビをつけると
ちょうどやっていたニュース
君が今いるその土地で
地面が揺れたというニュース
思考が止まった
混乱した
無事なのか。
怪我してないか。
泣いていないか。
死んでいないか。
僕はすぐさま受話器を手に取る
つながらないかもしれない
でも
何もしないよりはマシだ
発信音が耳に届いてくる数秒間
気が気じゃなかった
早く早くと
気持ちだけが先走る
頭では
最悪の事態ばかりが浮かんでくる
嫌なことが起きると
嫌なことしか考えられなくなるのは
僕の悪いところ
そんな不安と期待をかかえた僕を無視して
聞こえたきた声
『もしもーし。』
良かった
本当に良かった
いつもの君と変わらない声
でも
少し腹が立ってきちゃったよ
なのに顔がほころんでしまう僕
『もしもし?』
心配だったなんて口が裂けても言ってやらない
『僕だけど・・・元気?』
それでも元気かどうかは確認