詩人:トケルネコ
自動ドアが誘うその夜に
廃墟のエレベーターが蠢きだす
自ら赴いた死の鉄塔に
カラス達が舞い降りる
新しい恐怖のミミズ
青黒い胃袋で全てを喰らい溶かしゆく
指を呑み込む 舌を吐き出すAcid Melody
アバラの半分はもう、彼の虜
膝まづかずにいられない
一重の唇が泡立つほど揺れる 桎梏の鉄塔
心がクジを引く カラス達は静かに視ている
ガラガラと崩れだす夜に 千の死が一斉に舞い上がる
縛る女郎蜘蛛の王冠 蓑虫に隠れた死人の笑顔 虚無の痘瘡
眼玉から白い絲が垂れ 足元の蝋燭に焼かれゆく
冷めた軟膏を舌に塗り人形とキスをする
プツプツと弾けるニキビと心地よい手斧の重心
堕胎のその夜に言葉達を呑み込み
赤く湿ったつむじが腫れて 溢れる
カラス達が貪る Rust Melody