詩人:どるとる
票など要らないと思いながらも
どこかで票を欲しがる僕がいる
詩に価値などないのに
価値をつけたがる僕がいる
詩に輝きを与えるのはいつでも詩人の思いだけなのに
票や人の評価に惑わされる僕がいる
所詮僕もただの人
欲望にまみれ金に群がる愚かな人
ふと詩と向き合えば詩を今までどんなふうにどれくらい汚してきたかと思うんだ
「ごめんなさい」の言葉も無いままに僕は今まで歩いてきたな
よくもまあたくさん書いてきたものだな
今さらながら思うのです
感謝をする対象は票にじゃない
票をくれた人になのに
なぜか僕は欲しがる
形としての感想や人の賛同やあんたにゃかなわないよと白旗をふる姿を
見失ったあの日のただ純粋な思い
大人になって思います
ずいぶん汚してきたな
気づけば詩は背徳の極み 真っ黒け
涙を流すよ
言葉もないよ
あんだけ書いてきたのに詩に詩をぶつけられないよ
僕はただの愚か者だ
ごめんなさい
今、はじめて思う
詩は道具や金に換算するものじゃない
純粋なひとつの芸術なんだね
言葉は僕をきっと信頼している
僕は裏切り者だった
ふと詩と向き合えば
いろんな言葉が生まれるけどどれひとつ当てはまる償いの言葉はない
ああ こんな言葉さえ詩になるのかな
ああ どれだけ書けば満足できるかな
わからないから
わからないまま
僕はなすがまま
流れるままに
詩を汚し
詩を使い回す
そんな姑息なやり方で歩いたこの数年を僕は大きな罪と知る
これからはもっと純粋なありのままの詩を書きたい
僕という名の罪人の名を 少しずつ詩人という名の聖者にもどしたい
ただひとりのただの詩人になるために
僕は今まで 生きてきたはずだから
さあ 読んでください
僕という名の人が語る戯れ言のような本音を
何ひとつ くだらなくても目障りでも嘘はないから。