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[156909] リアルに侵されたならロマンスを

詩人:どるとる


何もない街の中で
今日もたくさんの悲しみや喜びに出会いました
そのたびに涙を流したり嘘でも笑ってみたりしていました
でもなんだかそれも疲れてきたので
そろそろお家に帰ろうと思いました
予定も目的もなにもない1日だから
すんなりと 家路は遮るものもなく スムーズにまっすぐ歩ける

目の前に揺れてる
かすかな光
寄り添うのは希望に甘んじる僕を見張るような影

後方から走ってきた車にふいに追い抜かれただけで なんだか切なさがたまらなくなって
思わず涙もあふれてしまう夜だから

浮かび上がるは月の影
全ての人に輝きを注ぐ
そして僕が生まれたその意味を曖昧にさせる
どうして僕はここにいるんだろう
それがずっと不思議で どこか納得のいかないからくりだ

過去 未来 現在
行き交う 思考
イメージばかりに
支配された脳内
絡まり合って
やがて ちぎれる記憶

さあ 僕の影よ
夜になれば 眠くなるからさよならね
切なさは夢の中に置いていこうかな
それでも嫌なことほど大切で 忘れられなくて なんだか悲しくて

そんな気持ち 語り合う愛しい人の影はない

冷めたようなリアルに侵されたなら
ロマンスをおひとつ味気ない 現実にまぶして
たまには子供みたいに統一性の無い 夢を見ましょう

何もない街の中で
何もない1日の中で
何もない僕が描く小さな小さな仮想世界

心の中だけでその存在を許される「夢」。

2010/06/10 (Thu)
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