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詩人:快感じゃがー
思わず
本音を口走ったかと、焦った。
「...救われたい」
それは、君の独り言で
滲んだ汗が非現実
長い睫毛に夜が刺さっている
あの日のキスは
罪悪感を助長しただけ
足りない「何か」を埋めようと
幾ら言葉を並べたとして
僕らは、ますます
遠ざかるばかり
何処まで逃げても
果てしなく、つきまとう
振り切れない黒い影のよに
後ろ髪引かれ、それでも。
気づかぬ素振りで
ふたりは、無言のまま離れた
けれど
霧の中に置き忘れた
理由や景色より
気がかりなのは
「現在」の正当性
きっと...
ぼくは、そう。なんだよ。
誰かの勘は
多分、的を得ていて
いつだって
結局、自分が大切
何度も翳したあの愛も
今となっては消費物
何日か後の手紙には
空白ばかりが目立っていたから
そんな白い隙間に
敏感になる僕も、いた
伏し目や深い溜め息は
まだ君が、ここにいたときみたいに
簡単に、イメージできるのにね
幸せごっこの
絶頂の輪郭は
感覚すらも掴めないんだよ
ねえ
どう繕っても言い訳だから
聞き流してくれて
構わないけど。
僕が君だけのものになっていたら
君は、満足してたかな?
君の嫌った真実を
森に隠していたら、
あるいは好きだと言った
シャンプーの匂いに
誤魔化していたら。
整然と並ぶ硝子ケースの中の
アクセサリーのように
小奇麗なものであったなら。
あんな風には、
終わらなかったのかな?
何をどう想像したって
それは、自己弁護
気休めくらいにしかならないけど
識る由もない君の明日を、いま
願わずにはいられないから
どうか、
返事は受け取ってほしい
読まずに
燃やしてしまって、いいから
どうか
否定なんて
しないでほしい
空は、そこにあること
気づいているはず。
愛そうとするあまり
不器用にはにかんで
つまずいて、
そして
過去へと転げ落ちた君へ
「愛」を込めて。