詩人:あとりえ
海の記憶
聴いている
あなたの腕
細くなく
マントだけ風
なびかせ
髪を切る人
あなたの髪を
ざんばらに
目隠ししながら
切って
髪落ちて
あなたたちはそのまま
倒れてしまう
僕は
檸檬かじりながら
頁を破り捨ててみた
風は
意図も簡単に飛ばした
貝殻で切った
夢は
繊細だったさと
雨
君の切り落とされた髪
流し
僕は新しい傘に満足した
ふりしながら
貝殻から
海の記憶
聴く
それを君に渡そうと
飛ばされた頁一枚
落ちて来て
拾い詠むと
けして破り捨ててしまうこと
なかった
大切なカケラたち
印された頁
あなたの髪
新たな風にただ
なびく