詩人:Tommy
遠くまで架かる橋が、
じっとこっちを見ているような気がした。
昨日の夜に夢を見ました。
ローストチキンを食べる夢。
冷えきっていて、
とてもまずかったのを覚えている。
そっと髪を撫でる指。
暖かいのを覚えている。
ずっと気になってた、
おとといの
テレビに出てた女優の名前。
小さい頃見た、
よくわからない不安の正体。
全部が本当で、
もしかしたら、
半分は嘘なんじゃないか。
油性のナメクジが這う。
遠くの方のビルの配列が変わる。
嘘をつく口をつむぐ。
全部本当でしたと、
鉄塔がうなる。
文字を打つ画面の点滅が
なにかの虫に見えた。
改札の、
流れ出てくるサラリーマンに、
僕は違和感を覚えた。
これは、
グレーだ。
染み込んでいくように溶ける、
グレーだ。
ナメクジの這ったあとが、
グレーに照らされて、
くっきりと浮かび上がった、
ように見えた。